コンビニエンスストア最大手、セブン-イレブン・ジャパンの社長が交代し、全国一律で実施してきた24時間営業を見直す方向で検討する。
セブンは、深刻な人手不足を理由に独自の時短営業に踏み切った加盟店のオーナーと対立してきた。今後は顧客の利便性をできるだけ損なうことなく、各店舗の実情に応じた、きめ細かな営業体制を構築しなければならない。
コンビニ業界は、24時間営業と加盟店方式による全国展開で成長を続けてきた。地域防犯や災害時の物資供給拠点など、今や「社会のインフラ」として欠かせない存在となっている。
しかし、その事業構造は大きな転換点を迎えている。業界各社は安定的な店舗運営に向けた知恵を出してもらいたい。
古屋一樹セブン社長が8日付で会長に就き、永松文彦副社長が社長に昇格する。24時間営業の見直しを求める一部加盟店との対立が経営体制の刷新につながった。
永松氏は記者会見で、営業時間の見直しについて「各店の経営環境が大きく異なるため、柔軟に判断したい」と前向きに対応する姿勢を示した。
そのためには各店における営業実態をきちんと把握する必要がある。そのうえで、深夜早朝帯など利用者が少ない時間は閉店するなど、加盟店の負担軽減に努めるべきだろう。
同時にセルフレジの導入や自動清掃などの省力化投資にも取り組み、現場の人手不足を積極的に解消してほしい。
世耕弘成経済産業相もコンビニ各社の社長らと会談し、コンビニ店主による長時間労働を是正するための計画づくりを求めた。経産省が実施した加盟店向けのアンケートでは、6割が「従業員が不足している」と訴えている。
加盟店と本部の契約のあり方も問われている。加盟店は利益の一定割合を本部に支払う仕組みで、加盟店契約は事業者同士が対等に締結する形となっている。だが、実際は個人事業主が中心の加盟店側の立場は弱い。
とくに人件費は、加盟店側が負担する形となっており、最近の厳しい人手不足の中でも本部は痛みを感じにくい構造にある。加盟店側が不利な契約を一方的に押しつけられることがないように監視も必要である。