光学機器大手HOYAのタイにある工場のシステムが2月末、サイバー攻撃を受け、多数のパソコンがウイルスに感染する被害に遭ったことが6日、分かった。レンズ生産ラインの一部が3日間にわたりダウンしたため、日本国内の眼鏡店への在庫供給に遅れが出るなどの影響が出た。
HOYAによると、攻撃者は仮想通貨を不正取得するウイルスを、タイ工場のパソコンに送り込もうとしたとみられる。その前段階としてID、パスワードを盗むウイルスに100台程度が感染した。仮想通貨関連ウイルスの感染は食い止めたとしている。
仮想通貨の不正取得を狙う攻撃は「2018年上半期に世界的に猛威を振るった」(セキュリティー企業)とされるが、具体的な事例が明らかになるのは珍しい。
仮想通貨の記録を支える計算作業に協力した人が新しい仮想通貨をもらえる「マイニング(採掘)」と呼ばれる仕組みを悪用する手口。攻撃者はHOYAのコンピューターを利用して仮想通貨の「不正採掘」を狙ったもようだ。