TDKなどが、次世代電池の本命と目される全固体電池の本格量産に近く乗り出す。安全性が高いほか、大容量化しやすいのも特徴で、まずウエアラブル機器などに使える少容量の小型品を生産する計画だ。今後は、巨大な市場が見込める自動車向けの大容量品も登場する見通しで、リチウムイオン二次電池からの置き換わりが期待される。(井田通人)
リチウム電池は、液体の電解質で満たされた正極と負極の間を、リチウムイオンが行き来して充放電を行う。これに対し、電解質が固体の全固体電池は液漏れや発火のリスクがない上、正極と負極を隔ててショートを防ぐセパレーター(絶縁材)が不要で低コスト化もしやすい。他にも短時間の充電が可能など、多くの点でリチウム電池を上回るとみられている。
TDKは電子部品技術を生かし、電解質にセラミックを用いたチップ型の電池を開発中。容量こそ少ないが、「ボタン電池と置き換えれば機器を小型にでき、充電も可能」という。既に月3万個をサンプル供給しており、6月にも本格量産に乗り出す。
電子部品メーカーでは、富士通系のFDKも昨年12月にセラミック系のサンプル出荷を始めたばかり。村田製作所は今年度中の製品化を視野に入れる。