免疫機能のブレーキ役となるPD1というタンパク質の働きに着目して開発されたニボルマブ(商品名オプジーボ)などのがん治療薬の効果を患者ごとに予測し、投与するかどうかの選択につなげる-。こうした手法を目指す大阪大のチームが相次いで英科学誌電子版に成果を発表した。高い精度で予測できれば効果向上や患者の負担軽減が見込めるという。
オプジーボはノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑京都大特別教授の研究成果を基に実用化されたが、高価で全ての患者に効くわけではない。
大阪大の白山敬之特任助教(呼吸器免疫内科学)らは腹部の筋肉量が多ければ効果向上につながる可能性があるとした。
研究では、投与を受けた日本人の成人男女約40人の患者を対象に、がんが小さくなったかや薬が効かないと判断されるまでの期間などと投与前の筋肉量との関係を分析。
すると、アジア人の筋肉量データ基準を下回った患者は効果が低かった。筋肉から分泌される物質が効果と関連する可能性があるとみている。採血し、血中のTリンパ球にどれぐらいがん細胞を攻撃する力があるかを測定すれば、効果を予測できる可能性があるとしたのは岩堀幸太特任講師(呼吸器内科学)ら。
Tリンパ球とがん細胞の両方に結合する特定の分子を利用し、Tリンパ球の攻撃力を測定する手法を開発。肺がん治療前の日本人の成人男女6人を対象に分析した結果、攻撃力の高い患者は、治療効果も高かった。