1950年創業でロッテグループのメリーチョコレートカムパニー(東京都大田区)は、58年に新宿伊勢丹で日本で最初にバレンタインチョコレートを販売した。当時から現在まで、毎年趣向を凝らしたチョコレート商品を開発し、世代を問わず多くの人の支持を得ている。同社の小屋松儀晃社長に現在のトレンド、多様化するチョコレート業界の展望について話を聞いた。(東京商工リサーチ特別レポート)
――バレンタインがここまで広がった背景は
「多くの要因はあるが、歴史的に女性の社会進出は大きい。店頭販売を始めた当時、女性週刊誌が次々と創刊されていた。メディアに取り上げられ、バレンタインが注目されるようになった。その後は他の菓子メーカーもバレンタイン商品の販売を開始し、次第に浸透していった。チョコレートが多くの人に好かれる食材だったのも大きい。プレゼントとして気軽に贈りやすい。今でこそ海外ブランド等の高級品も多いが、元々はそんな高価のものでもなかった」
心配する外野の声にも「このぐらい挑戦した方がいい」
――戦国武将をテーマにした「TSUWAMONO(つわもの)」シリーズがSNSを中心に人気だ
「このシリーズは、織田信長や徳川家康、真田幸村、伊達政宗などの戦国武将をイメージしたチョコレート9種をそれぞれアソート(詰め合わせ)にした。例えば、信長は宣教師から送られたとされる金平糖をあしらったガナッシュ。日本で初めてワインを飲んだとされる逸話にちなみ、ポートワインを使ったチョコレート等も入っている。家康のアソートは、長寿の秘訣だったと言い伝わる忍冬酒(薬味酒)のチョコレートなどを揃えた」