富士通のトップにSE出身者が就くのは16年ぶり。「顧客と向き合う最前線で培った経験・ノウハウをすべて用い、ITサービスを中心とした成長を目指すのが使命」だと意気込む。就任を打診された際は「迷いもあったが、考えても仕方ない」と即諾したという。
入社以来、生命保険や金融業界向けのシステム畑を長く歩んだ。メガバンクでのシステム障害という厳しい事態にも直面し「精神面が鍛えられた」と語る。田中氏も「数年にわたるプロジェクトを動じず、自分のビジョンで牽(けん)引(いん)してきたパワフルな人物」と、さらなる改革への期待を込める。
田中氏が社長在任中の目標としていた「営業利益率10%」。その達成へ向けたバトンを引き継ぎ、「自前主義にこだわらず、顧客に近いところでデジタル革命の商機を捉える」方針だ。
妻と息子の3人家族。2年前から英ロンドンで、海外向けサービス・開発部門の1万2千人を率いた。「学生時代に始めたゴルフが唯一の趣味。現地でますます好きになった」という。(山沢義徳)