米国から成田空港を経由し他国へ向かう航空旅客が乗り継ぎの際に受ける保安検査を、国土交通省と成田国際空港会社(NAA)は4月から省略する方針を固めた。27日、空港関係者への取材で分かった。国交省が米側と合意した。NAAによると、省略は国内初で、利便性を高め乗り継ぎの拠点空港としての地位を向上させるのが狙い。
空港関係者によると、日本の規定では国際線を乗り継ぐ際、金属探知や手荷物検査を受ける必要があるが、日本と同等の保安体制と確認できた国からの旅客には省略が可能。成田では4月3日から米発便について、便数を限定して試験的に運用を始め、将来的に本格導入するという。
米国と日本は安全性が同等だと確認したが、1月に成田に到着した米発便の旅客が拳銃を所持していたことが発覚。このため、国交省などは導入が可能かどうかや時期を慎重に検討し、省略できると判断した。
NAAの計画では、対象便の旅客のうち、入国する客と乗り継ぎ客を搭乗橋で分離。乗り継ぎ客は直接、次の便のゲートがある出発エリアに入れるようにする。対象外の旅客が出発エリアに入ることを避けるため、搭乗橋に看板を設置し、係員を待機させる。国交省などによると、米国からの定期直行便は現在、新千歳、羽田、中部、関西、福岡の各空港にも就航しているが、国際線の多い成田で実施する。
成田では乗り継ぎ客が減り続け、北米とアジア各地を結ぶ拠点空港としての地位を維持することが課題となっている。