<統一地方選・大阪>
今更、都構想議論を掲げて大阪ダブル選を行うといわれても、よく意味が分かりません。課題が山積する中で、府民、市民の理解を得られるものではない。会社経営の場合、目の前の課題を議論せずに理想論を掲げるばかりでは、経営者として失格です。
われわれサービス業では人手不足や働き方改革の取り入れ方、外国人雇用の促進、消費税増税の問題が喫緊の課題としてあります。
大阪・ミナミでは今でこそインバウンド(訪日外国人客)でにぎわっていますが、今年の春節では陰りも見えました。爆買いは減って量販店の売り上げは落ち込み、訪れる人自体も地方に分散しています。メーカーでも、中国の景気の影響で業績の下方修正が増えた。深刻な人手不足で思ったような成長戦略も描けない。このままいくと大阪の経済は落ち込んでいきます。商人の街の大阪らしいにぎわい、経済発展を維持するための施策を行政側にも考えてほしいのです。
大阪の豊かさって何でしょう。合理的に自分のことだけを考えるのではなく、隣近所に声を掛け合い、助け合い、多様な人を認め合う文化が大阪のウリで、おもろいところではないでしょうか。
せっかく官民一体となって、2025年大阪・関西万博の開催を決めました。総論で賛成し、各論で十分に議論し合えるまとまった街でなければ、10年先、さらに50年先の未来は描けません。(聞き手 安田奈緒美)
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なかい・まさつぐ 昭和20年、奈良県生まれ。中学卒業後、乾物店や洋食店での勤務を経て、42年に老夫婦が営むお好み焼き店を継承、48年に「千房」を創業した。斬新な事業展開を行うほか、受刑者の出所後の就労支援など社会貢献活動にも尽力している。