日本初の民間ロケット場 和歌山に発射場や組み立て棟、年内着工


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 キヤノン電子や清水建設などが設立した宇宙事業会社「スペースワン」(東京)はこのほど、日本で初めてとなる民間ロケット発射場の建設予定地を和歌山県串本町に決定したと発表した。県や町と協力して進めていた用地買収の完了にめどが立ったことから2019年中に着工し、21年度の運用開始を見込む。20年代半ばには年間20機の打ち上げを目指す。

 予定地は串本町田原地区にあり、面積は約15ヘクタール。ロケットの発射台や組み立て棟、保管庫などを建設する。気象データ分析などに使う小型衛星打ち上げの需要が拡大していることを受け、専用の小型ロケットを開発し、需要の取り込みを図る。

 和歌山市で記者会見した太田信一郎社長は「県や町から強力な支援をもらった。地元の熱意が後押しになった」と語った。県はロケット見学による観光客の増加など10年間で約670億円の経済効果があると試算しており、仁坂吉伸知事は「新たな観光要素が加わり、多くの投資が和歌山に流れ込むだろう。心から歓迎したい」と述べた。

 スペースワンは、IHIエアロスペースや日本政策投資銀行も含めた4社が出資して、18年に前身の「新世代小型ロケット開発企画」から社名変更して設立した。打ち上げの妨げとなる障害物がなく、物資を低コストで輸送できる立地にあるといった条件を精査した結果、串本町を候補地として協議を続けていた。