埼玉発 輝く

笛木醤油 土地の要素大事にした新商品続々 (1/3ページ)

 のどかな田園風景を進むと、突然、風情ある蔵が視界に入る。埼玉県川島町に本社を構えるしょうゆ製造・販売業「笛木醤油(しょうゆ)」。この地で1789(寛政元)年に創業し、230年の伝統を誇る老舗だ。

 おけにこだわり

 笛木醤油12代目の笛木正司氏(38)は一昨年に社長に就任して以来、新商品を続々と考案している。2月から本社の直売所などで売り始めた生じょうゆ「木桶初しぼり」は、市場では一般に流通していない埼玉県小川町産の青山在来大豆を用い、わずか1カ月で800本を売り上げた。3月には川越産の大豆と小麦を用いた「川越しぼり」の販売を予定している。

 これらの商品に共通しているのは「テロワール」という思想だ。テロワールとは、その土地の土壌、風土、気候が食品の味を左右するという考え方だ。関東では濃口、関西では薄口が好まれるように、しょうゆの味わいも地元の郷土料理に合わせてきた。そんな経緯を持つしょうゆ造りだからこそ、「その土地が持つ要素を大事にしたい」と笛木社長は語る。

 笛木社長のこだわりは素材だけでなく、しょうゆを仕込むおけにも反映されている。笛木醤油では、多くの蔵で採用されているステンレス製のおけではなく、あえて昔ながらの木おけを使用している。木おけはステンレス製のおけに比べ、発酵時間が倍近くかかるが、その手間を惜しまないからこそ「本物のしょうゆの味を引き出せる」(笛木社長)という。

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