日産自動車が前会長、カルロス・ゴーン被告(65)の事件を受けて設置したコーポレートガバナンス(企業統治)改革の特別委員会は27日、経営監督機能の強化策を盛り込んだ報告書を公表した。特別委は、ゴーン被告への権限集中を「不正の根本原因」として認定し、会長職の廃止を提言した。日産はこれを踏まえた経営体制を検討し、6月の定時株主総会を経て新体制に移る方針だ。
「ガバナンス改善特別委員会」が27日、横浜市内で開いた記者会見で、38項目の強化策を盛り込んだ報告書を発表した。
日産の取締役は現在9人で、うち社外取締役は3人。特別委は現在の定款を変更し、取締役の過半数を独立性のある社外取締役としたうえで、社外取締役中心で経営を監督する「指名委員会等設置会社」に6月末までに移るよう求めた。人事や報酬などを決める権限がゴーン被告に集中した反省を踏まえた。企業連合を組むフランス自動車大手ルノーとの間で攻防があった会長職については廃止。会長が兼ねていた取締役会議長を社外取締役が担うことも盛り込んだ。
特別委は昨年12月の発足後に洗い出した統治体制の問題点を提言に反映。共同委員長で前経団連会長の榊原定征氏は会見で「(提言を)実行すれば世界に通用する高度なガバナンス体制を構築できる」と述べた。ただ、日産の現経営陣の責任は追及しておらず、改革の実効性は株主の厳しい視線にさらされそうだ。