農研機構、スマート農業検証に69件を採択 コスト削減効果など分析

 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、ロボットや人工知能(AI)などの先端技術を農業現場で活用する「スマート農業」の効果を検証する事業に、40道府県の計69件を採択した。4月以降にも開始し、約2年をかけてデータを集める。労働時間や生産コストをどれだけ削減できたかなどを分析し、スマート農業の普及を図る。

 採択された事業地では、自動運転の田植え機やトラクター、熟したトマトのみを収穫するAIロボットなどが導入される見込み。

 大規模な農家だけでなく、農地が小さかったり点在したりしている山間部や離島、輸出向け農産物を生産する現場でも活用を探る。

 農業は高齢化や就農人口の減少で労働力不足が問題となっている。2018年に発効した環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など自由貿易圏の拡大で今後は農産物の輸入が増えると見込まれ、農業の競争力強化が求められている。農林水産省は19年をスマート農業の「実装元年」(吉川貴盛農相)と位置づけ、普及拡大に本腰を入れている。