iPS細胞を自動で培養 日立が装置、再生医療普及に一役

日立製作所が製品化したiPS細胞培養装置(同社提供)
日立製作所が製品化したiPS細胞培養装置(同社提供)【拡大】

 日立製作所は11日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の自動培養装置を製品化したと発表した。再生医療に用いる装置に関する国内規制を初めてクリアした。高品質のiPS細胞を人手に頼らず大量に安定供給することで、再生医療の普及を後押ししそうだ。

 iPS細胞の培養は主に熟練者が手作業で行っており、再生医療を広げるため効率化が求められていた。日立の装置は無菌環境で細胞の播種(はしゅ)、培養、観察を自動で行う。研究向け装置を平成29年に実用化していたが、新たに医療現場での患者への使用に対応させた。

 装置の1号機は、パーキンソン病向けの医薬品販売を4年以内に始める大日本住友製薬へ納入した。装置で培養した細胞は、近く同社が行う治験に使う予定。 日立は大日本住友や京都大iPS細胞研究所と27年から共同研究を行っており、月内に2号機も納入して生産体制の確立を支援する。

 iPS細胞を用いる再生医療は26年に日本で臨床研究が始まり、目の難病やパーキンソン病などに対象が拡大。富士フイルムが日米に細胞の生産拠点を置き、企業治験の実施を目指すベンチャーが増えるなど、参入の動きも広がっている。