□ワールド・ワイズ・ジャパン代表LOGOSプロジェクト主幹 濱口理佳
1月29日、パチンコ・パチスロ産業の14団体(パチンコ・パチスロ産業21世紀会)が賀詞交歓会を開催した。全日本遊技事業協同組合連合会の阿部恭久理事長が14団体を代表してあいさつし、その中で政府のギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議による論点整理およびその強化で示された項目の進捗(しんちょく)について報告。依存相談窓口の対応時間延長や「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」が3万人を超えたこと、依存問題対策の第三者による調査が遊技産業健全化推進機構により実施されること、「ギャンブル等依存症問題啓発週間」への対応として5月14日に東京でフォーラムを開催することを伝えるとともに、政府の依存症対策推進本部が策定する基本計画の内容を踏まえ、今年も依存問題対策を業界の最優先事項として取り組むことを掲げた。
一方「パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議」(座長・總山哲弁護士)が設置され、1月24日に第1回の会合が開催されている。この有識者会議は遊技業界における依存防止対策の取り組みを評価したり、新しい取り組みを提言したりする役割を担うことになっているが、射幸性を伴う遊びを提供する遊技産業として社会的責任を果たすべく、厳しい業況にもかかわらず、遊技への依存対策強化が図られる現状だ。
しかし、遊技業界ほど頻繁に社会から「その存在意義」を問われる産業はないだろう。レジャー産業(健康維持や学習など実用性が先行するジャンルを除く)全般にいえることなのだろうが、ことさら「ギャンブル」やゲームなどの「エンターテインメント」については世間から厳しい視線が向けられる。これは依存問題がクローズアップされる前からの風潮で、現在は依存をキーワードにエスカレートしたに過ぎない。
持続可能な社会の実現を背景に、あらゆる企業・産業が常に自らの存在意義や役割、なすべきことを問いながら社会におけるポジショニングを図ることが望まれるなか、遊技業界における存在意義の追求は、時代の変化に柔軟に対応し、その時々にふさわしいスタイルに形を変えながら生き残り続ける産業像の実現に不可欠なレッスンといえるのかもしれない。
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【プロフィル】濱口理佳
はまぐち・りか 関西大学大学院文学研究科哲学専修博士課程前期課程修了。学生時代に朝日新聞でコラムニストデビュー。「インテリジェンスの提供」をコアにワールド・ワイズ・ジャパンを設立。2011年、有志と“LOGOSプロジェクト”を立ち上げた。