人工知能(AI)を搭載したスマートスピーカーの市場は、この1年で大きく様変わりした。前回スマートスピーカーについて書いた時に取り上げた2017年6月のデータでは、アメリカ市場ではアマゾンが82%と、圧倒的なシェアを占めていた。世界市場においても、2017年4~6月期のアマゾンのシェアは75.8%とほぼ一強だったのである。
しかし、調査会社スタティスタの最新データによれば、2018年7~9月期にはアマゾンのシェアは31.6%まで縮小、2位グーグルが22.7%と迫り、次いで中国勢のアリババ(9.5%)、バイドゥ(百度、8.4%)、シャオミ(小米科技、8.4%)、その後にアップル(4.8%)が続いている。アマゾンのシェアが下がったのは、単に同社のスマートスピーカー「エコー」シリーズの売上の伸びが鈍化したのではなく、新規参入が相次ぎ、市場そのものが拡大したためだろう。
なかでも注目すべきなのが中国市場だ。先の調査データからもわかるように、上位5社のうち3社は中国企業である。当初はアマゾンのAIである「アレクサ」も、グーグルのAIである「グーグルホーム」も英語にしか対応していなかったため、スマートスピーカー市場は英語圏に限定されていた。しかし中国企業が中国語対応のAI開発に乗り出し、独自の製品を販売し始めたことから、中国のスマートスピーカー市場が急速に立ち上がりつつある。