経営改善の最優先事項は「目的を明確にする」ことだ。筆者がコンサルタントとして関わった経営の現場では、目的が定かではない企業の失敗割合が8割に達し、逆に目的が明確な企業の失敗例は非常に少なかった。(日本パーソナルビジネス協会代表理事・親川政明)
目的が明確なら戦略や戦術は自ずと決まる。年商1億円か100億円のどちらを目指すかで戦略、戦術は当然異なる。会社の目的に「正しい答え」はない。「私たちはどんな会社であろうとしているのか」という経営者の考え、社員の総意から「目的としてよいであろうという価値観」を導き出すことで「正しい目的」となる。
目的を明確にすることは、人生にも当てはまる。最近、数社のクライアント先経営者に「あと10年しか生きられないとして、何ができたら悔いのない人生が送れるか、どんな会社にしたいか」を聞いた。すると今まで売り上げアップや労働時間削減を求めていた経営者のほとんどが「金銭や時間」以外の「体験」「貢献」「未来」を求めていた。「親を海外旅行に連れていきたい」「後継者を10人育てたい」「アジアに商品を広めたい」などだ。資金があっても目的がなければ使い道はない。生きた資金の使い方は目的があって初めて機能するのではないか。
経営理念や人生の目的は山登りに例えられる。「山に登ること」ではなく「何のために登りたいか」に意味がある。また安全に登頂し、下山するには限られた時間や食料といった「資源」を最大限に生かす「戦略」が必要だ。