富士通、AIで体操競技の採点自動化 国際体操連盟と共同開発、19年の世界選手権で導入

公開された富士通と国際体操連盟による採点支援システム=20日午後、東京都港区
公開された富士通と国際体操連盟による採点支援システム=20日午後、東京都港区【拡大】

 富士通は20日、体操競技の採点を3次元センサーや人工知能(AI)で自動化するシステムが、国際体操連盟に採用されたと発表した。2019年開催の世界選手権で導入され、東京五輪・パラリンピックでも5種目の採点支援に用いられる。各国の団体に広げるとともに判定データをテレビ中継用などに販売し、今後10年間で累計1000億円のビジネスに伸ばすのが目標だ。

 同システムは、1秒間に200万回照射する近赤外線レーザーで選手の身体の動きを3次元的に捉え、技のデータベースと照合して出来栄えを判定する仕組み。演技の完成度を数値データとして把握できるため、審判業務の効率化だけでなく、練習の高度化にも役立てられる。

 富士通と連盟は昨秋から共同開発を進め、選手の実技や過去の競技映像など数百万件の画像データをAIに学習させた。今後、判定可能な種目数や、体操以外の競技への拡大を目指す。

 同日の発表会見で、連盟の渡辺守成会長は「採点競技の課題である『審判の公平性』が解決され、観戦のエンターテインメント性も高まるだろう」とし、富士通の田中達也社長は「スポーツ産業が発展する好循環につなげたい」と期待を述べた。