「毎年200億円の赤字になる」。日本郵便は16日の総務省の有識者委員会で、同日要望した「週5日、4日以内」という郵便配達に関する制度見直しがない場合、毎年巨額の赤字が積み上がるという試算を公表した。制度見直しは利用者利便の低下を招くが、日本郵便の高コスト体質改善への影響は限定的とみられる。全国一律のユニバーサルサービスは転換点を迎えている。
日本郵便は16日、総務省で開かれた郵便局の活性化策を議論する有識者委員会で、郵便物の土曜配達の休止など郵便法改正が必要となる郵便物に関する制度整備を要望した。日本郵便は人手不足への対応などから来春の制度見直しに期待を込めるが、期待通りに総務省の法改正に向けた作業が進むかは未知数だ。
「これ以上配達を遅らせることはできない」。委員会の有識者からは日本郵便の配達頻度や配達日数などの要望に対して厳しい声が相次いだ。
日本郵便は「アンケート結果をもとに、値上げよりもサービス水準の低下の方が反発が少ないと判断した」と今回の要望の理由を説明した。配達の見直しで約5万3000人の再配置が可能になり、効率化が見込めるという。しかし、諫山親(いさやま・ちかし)副社長は「賃金単価の上昇が効率化の努力を打ち消してしまう」とも述べ、利益の減少は制度見直し後も完全には止まらないという見通しを示した。