【遊技産業の視点 Weekly View】法的知識を礎に業界の未来を考える


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 □ダイナム法務・リスク管理部 法務担当・生島靖也

 パチンコ営業を行うためには、まず営業店舗の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受ける必要があり、当該許可の根拠法令として「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」(風営法)がある。そもそも風営法は「善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止すること」を目的とした法律で、パチンコのみならず、接待飲食等営業(キャバレーなど)、マージャン屋、ゲームセンターなどの広範囲な業種がその規制の対象とされている。さらに、それぞれの営業を規制するルールは風営法に限るものではなく、「施行令」「内閣府令」「施行規則」「遊技機規則」「解釈運用基準」などのさまざまな関連法令などに細かく分かれており、全体として複雑で分かりにくいという特徴がある。

 一方ここ数年来、遊技人口の減少が数字として顕著に表れている。このことは、個別企業の業績に影響を与えるだけではなく、遊技業界全体のありかたに大きな影響を与える重大な事実だと捉えている。

 このような状況下で、遊技業界が抱える大きな問題として(1)射幸性の抑制問題(2)遊技機流通の健全化問題(3)遊技機の不正改造問題(4)賞品に関する問題(5)広告・宣伝の問題(6)依存症対策問題-などが挙げられる。また、これら諸問題を業界全体として議論していかなければならない中で不足していると感じるものがいくつかあり、とりわけ基本的なルールである法的な規制の理解が業界全体で不十分ではないかと考える。ルールに関する正しい理解や共通認識がない状態で問題解決に向けた議論や検討を行っても、その本質には至らず、結果として悪い意味で法令に縛られ、業界全体が消極的で受け身な対応にならざるを得ない。これからは、業界が自ら抱える諸問題について、ルールとの正しい関係性を学び、正しい共通認識を持つことがより重要性を帯びてくる。さらに問題点を整理し、具体化した上で議論を深め、自らが改善すべき点やルール自体の改善提案など、自律的に分析・判断する力を身につけ、そして社会の要請に応え、国民にとって必要とされる産業に発展させていくことが望まれる。

                   

【プロフィル】生島靖也

 おじま せいや 1974年生まれ、長野県出身。98年に株式会社ダイナムに入社。営業部門、リスク管理部門などを経て、現在、法務・リスク管理部法務担当。『パチンコホール法律ハンドブック2018』の編纂(へんさん)にも携わる。