地方空港、集客強化に工夫 観光地無料入場券や利用回数に応じた特典

 地方空港が集客を強化している。中部空港(愛知県常滑市)では観光地の無料入場券を北海道からの訪問客に贈り、福島空港(福島県玉川村)では企業や団体向けに利用回数に応じた特典を提供している。旅客需要を掘り起こし、周辺経済や観光を盛り上げる狙いだ。

 中部-新千歳線は、中部から北海道へ行く人に比べ、北海道から中部を訪れる人が少ない。「中部にも魅力的な場所がある。PR不足が原因だ」(中部空港関係者)とし、北海道在住者が中部空港に到着した際、名古屋城や名古屋テレビ塔など観光地の入場が無料になる券を配っている。

 福島空港では、企業や団体の職員1人の片道利用を「1フライト」とし、5フライト目や10フライト目などの節目に空港ラウンジ利用券や、福島特産品詰め合わせなどを渡すキャンペーンを展開している。100社以上が登録しており、担当者は「観光よりもビジネス需要の方が安定している。しっかりと取り込みたい」と話した。

 松山空港(松山市)は、海外旅行に行ったことがない18~29歳の愛媛県在住者を対象に、パスポート取得後3カ月以内に松山-ソウルや、松山-上海の路線を利用する場合、旅行会社で使える5000円のクーポン券を発行する。

 能登空港(石川県輪島市)は、往復で同空港を利用した場合、3歳以上の未就学児1人の搭乗につき現金1万円を還元している。3歳から運賃が必要になるため飛行機に乗ることをためらう保護者を支援する。

 東京工業大の花岡伸也教授(航空政策)は「空港単独ではなく、空港同士が連携して集客する工夫も必要だ」と話している。