□日本パーソナルビジネス協会代表理事・親川政明
人口減少に伴い、人材不足が深刻さを増している。「現場を回すスタッフがいない」「マネジメントできる経験者がいない」などだ。人口が減るのだから採用だけで解決するには限界があり、労働生産性向上に取り組まないといけない。そのヒントを紹介しよう。
筆者が考える労働生産性とは「従業員1人当たりの売り上げ、粗利、労働時間、給与」の効率性だ。理想は社長1人、従業員15人以下の企業は、年間ベースで従業員1人当たりの売り上げ2000万円を最低基準とし、粗利70%を目指したい。社員10人の場合は売り上げ2億円、粗利1億4000万円となる。粗利率を改善するには「商品単価を上げる」「原価を下げる」の2択しかない。商品価値を最大化するか、原材料価格を下げる。また仕入れ先との交渉で仕入額を下げる。
次は労働時間の改善。完全週休2日制はもちろん、有給休暇取得の「自由」も目指したい。1日8時間労働、週休2日での月間労働時間は160~180時間。労働時間を月170時間以下に抑えつつ、売り上げを伸ばせるかがカギだ。「休めない」のは仕事が後手に回っている証拠。仕事に追われるより能動的に仕事を追う方が業務を計画的に遂行でき、生産性が高まる。
「業務ごとの労働時間の把握」は、当社の場合、自社開発のシステムを利用している。スケジュール管理クラウドの「Googleカレンダー」に業務内容を打ち込むと「月間の業務内容それぞれの労働時間を個別に表示するシステムレポート」が出てくる。事務、移動時間、商談、会議などにかかる時間が一目瞭然だ。それに基づいて「売り上げアップ、費用削減につながる行動時間」を増やし、それ以外の時間は極力排除する。「時間の使い方」を月1回指導するだけで労働生産性が向上する。
「給与」については、一般に売り上げ対比率が20~50%となっている。売り上げが1億円だと、人件費は2000万~5000万円程度だ。月給や手当てなどの固定給与比率が高いと「安定型」の経営になり、月給は低めで賞与を高めにすると「業績連動型」の人事戦略となる。例えば「実力主義」の社風を浸透させたいなら業績連動型を選ぶとよい。
当社では、これらの施策により従業員1人当たりで売り上げ3000万円、粗利2700万円、完全週休2日制で残業なしを達成した。次は労働時間を1日6時間に減らすことを目標としている。
労働生産性アップは業務改善だけでなく、「人生の豊かさ改善」につながる。私たちは「幸せに生きるために仕事をしている」はずだ。経営の仕組み化や業務改善によって労働時間を短縮し、リフレッシュできる時間を持とう。それが明日への活力にもなる。
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【プロフィル】親川政明
おやかわ・まさあき 沖縄県立泊高卒。2004年オフィスワークサポートを起業、14年合同会社ミリオンズを設立し代表(現職)、17年日本パーソナルビジネス協会(JPBA)を設立し代表理事(現職)。売り上げアップ、労働時間削減を90日以内に同時達成する経営の仕組みを提供。41歳。沖縄県出身。