「日本版LLC」設立ラッシュ 節税対策で個人投資家も…本末転倒との声も (1/4ページ)

 「日本版LLC」とも呼ばれる「合同会社」の設立が急増している。設立費用が安価で株主総会もなく経営の自由度が高いことなどがメリットとされるが、仮想通貨などの個人投資家も活用。節税対策での乱立は「本末転倒」との指摘も出ている。(東京商工リサーチ特別レポート)

◆会社法改正から10年超でメリットが浸透

 2017年月に全国で新設された法人(以下、新設法人)は、13万1981社(前年比3.1%増)で、2010年以来、8年連続で前年を上回った。なかでも「合同会社」は2万7039社(同14.4%増と急増ぶりが際立った。

 「合同会社」は、2006年の会社法改正で設立できるようになった会社形態だ。

合同会社の新設法人年間推移

合同会社の新設法人年間推移

 「株式会社」より設立費用が安価(株式会社だと15万円の登録免許税が6万円で済むなど)で、手続きも簡易な上に株主総会を開催する必要もなく経営の自由度が高い。ある程度の事業所得がある場合、合同会社を設立して役員報酬を払うことで給与所得控除も受けられる。

 当初、「合同会社」は信用の面で「株式会社」より低いとされていた。だが、会社法改正施行から10年余を経て、大手外資系企業の日本法人が合同会社となった実績に加え、様々なメリットも浸透してきたようだ。

外資系の日本法人も