「アトツギ」ベンチャー支援団体発足 廃業対策の切り札に

家業を継ぎながら新規事業を起こす若手経営者を支援する「ベンチャー型事業承継」。発起人の山野千枝代表理事(中央)をはじめとする中心メンバー=25日、東京都千代田区(松村信仁撮影)
家業を継ぎながら新規事業を起こす若手経営者を支援する「ベンチャー型事業承継」。発起人の山野千枝代表理事(中央)をはじめとする中心メンバー=25日、東京都千代田区(松村信仁撮影)【拡大】

 家業の経営資源を活用して主に20歳代~30歳代前半の若手後継者が新たな事業をおこす「アトツギ」ベンチャーを支援する団体「ベンチャー型事業承継」が発足、25日に東京都内で団体関係者による記者会見が開かれた。後継者不在による廃業が深刻化するなか、第三者へのM&A(買収・合併)に抵抗感を持つ中小企業にとって、新たな解決策となりそうだ。

 団体は20日付で設立。企業コンサルティングのAllDeal(オールディール、東京都千代田区)内に事務局を置いた。

 具体的な活動として、クラウド会計ソフトを手がけるfreee(フリー、東京都品川区)と共同で、家業の経営資源を活用した新規事業のビジネスプランコンテスト「アトツギソン」の東京での開催を企画している。

 また起業支援のリバネス(同新宿区)と連携して大手企業や大学などとのマッチング(出会い)を促すほか、クラウドファンデングのマクアケ(同渋谷区)をも資金調達支援で協力する。このほか地域金融機関とも連携し、アトツギベンチャーに関する研修やセミナーなどを随時開く。

 団体の発起人で代表理事を務める、中小企業コンサルの千年治商店(兵庫県芦屋市)の山野千枝社長は「家業というフィールドで新たな挑戦をする若い経営者を応援したい」と語った。

 アトツギベンチャー支援は、平成29年、近畿経済産業局が支援策に乗り出している。アトツギソンの開催したほか、関西大学で親が商売している学生限定の講義「ガチンコ後継者ゼミ」が開かれるなど、先進的な取り組みが進められている。