IoT(モノのインターネット)関連の需要拡大に伴い、エンジニア不足の問題が深刻化している。人材を確保できている企業は2%に満たないという調査結果もあり、エンジニアの確保は急務だ。こうした動きを踏まえ、民間の企業や団体の間でIoTに詳しい人材の育成に取り組む動きが活発化している。
課題解決力を習得
電子商取引(EC)サイトを運営するDMM.comは、JR秋葉原駅(東京都千代田区)近くにある、ものづくり支援拠点「DMM.make AKIBA」でエンジニアの育成研修に取り組む。講座のプログラムは、(1)知識の習得(2)経営改善に関するアイデア出し(3)教育用マイコンキットを使った簡単な工作-で、2時間ずつ行う。このうち工作では小型カメラをマイコンキットに組み込んで、撮影された顔の表情を分析する。
講座を担当するDMM.make AKIBAの境理恵プロデューサーは「実際に製作したキットが課題の解決に役立つことを体感できる」と話す。
同講座を利用した鉄道車両保守のJR東日本テクノロジー(東京都新宿区)の担当者は「研修を受けた社員から、IoTによる業務改革に関する積極的な意見が出てくるようになった」と、一定の効果に手応えをつかんでいる。
ロボット開発シンクタンクのiRooBO(アイローボ)ネットワークフォーラム(大阪市住之江区)は、生産現場に従事する人を対象にしたプログラムを、専用の実習設備が設置された次世代産業オートメーションの総合施設「IATC」で実施。電気制御からIoT技術に至るまで、幅広く学ぶ。必要に応じ機器を操作しながらいつでも復習できる。東京商工会議所でも3月、同様のセミナーを初開催した。