銀行界が限度額撤廃に反発する背景には、ゆうちょ銀の民営化が遅々として進まない実態がある。日本郵政のゆうちょ銀への出資比率は昨年9月時点で約74%。政府による間接出資の割合は依然として大きく、公正な競争環境が担保されているとはいえない。
特に地域金融機関はゆうちょ銀との競合に神経をとがらせている。預入限度額が1300万円に引き上げられてから昨年末までのゆうちょ銀への資金移動は3.2兆円程度だが、地銀協の佐久間英利会長(千葉銀行頭取)は14日の記者会見で、「業態によってはゆうちょ銀の(貯金の)伸びが民間を上回っている地域もある」と強調。限度額撤廃となれば、さらに影響が大きくなる懸念がある。
不安定な金融市場環境が続く中で、ゆうちょ銀が圧倒的な額の貯金を運用に回すことの影響を不安視する声もある。平野会長は「今後の金利上昇局面で金利リスクが顕在化し、将来的な国民負担の発生にもつながりかねない」と訴える。(米沢文、西岡瑞穂)