車載用電池事業での協業を発表し、握手するトヨタ自動車の豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長=2017年12月13日午後、東京都港区(松本健吾撮影)【拡大】
自動車産業に「100年に1度」と言われる転機が訪れている。各国の環境規制や電池などの性能アップを背景に、電気自動車(EV)などの電動車に需要がシフトしていく見通しなのだ。裾野が広い産業だけに自動車大手はもちろん、部品・部材メーカーにも変革の大波が押し寄せるのは必至だ。電池やモーターなどの関連需要が伸びるとみられ、日本企業にも新たな事業拡大の好機となる。
2017年12月、日本を代表する自動車と電機メーカーのトップが東京都内で緊急記者会見を開いた。主にEV向けの電池分野でトヨタ自動車とパナソニックが提携を打ち出したのだ。
背景には世界的な「EVシフト」がある。米カリフォルニア州や中国では、自動車メーカーに対し、販売する新車の一定割合を、排ガスを一切出さないEVや燃料電池車(FCV)にすることを義務づける規制を導入する予定だ。
FCVはインフラ課題
FCVは水素を充填(じゅうてん)するインフラ整備が課題で、普及には時間がかかるとみられる。他の国や地域でも規制強化が進めば、EVがエンジン車に取って代わり、普及台数を伸ばしていく可能性が高い。世界の新車販売に占めるEVの比率は現在1%未満とみられるが、デロイトトーマツコンサルティング(DTC)は2050年には60.1%に拡大すると予測している。
エンジン車の製造に必要な部品は1台で3万点とされるが、DTCはEVになると、エンジン部品約7000点を含む2万点近くが不要になるとみている。駆動・伝達、操縦部品は半数近く、電装品・電子部品も大部分がEVには使われないという。日本自動車部品工業会の志藤昭彦会長(ヨロズ会長)は「世界の潮流とも言える変化に対応していく必要がある」と危機感を示す。