【遊技産業の視点 Weekly View】

 □ぱちんこジャーナリスト LOGOSインテリジェンスパートナー・POKKA吉田

 ■ギャンブル性抑制が対策につながるか

 第195回特別国会が9日に閉幕。衆議院解散総選挙がなければ議論が白熱していたであろうギャンブル等依存症の対策法案は、維新案、自公案、立民案と法案提出されたが成立していない。これらの法案審議は来年の通常国会以降になる見込みだ。

 今年はぱちんこ業界にとってはギャンブル等依存症対策の年だった。ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議でもまとめられているが、警察庁が主導してぱちんこの依存対策として2つの国家公安委員会規則を改正。依存対策の考え方としては、遊技機のギャンブル性を抑制するという方向性である。

 ぱちんこ営業は貸玉・メダル料金に上限のみが規制されている関係上、出玉個枚数制限がそのままギャンブル性抑制とはかぎらないのだが、すべての店の貸料金を想定した規制を設けるのは困難である。結果、出玉率を中心とした規則改正となった。

 改正された規則は来年2月1日から施行されるが、経過措置が設けられている。このため、現行規則機が最長で今から3年ほどは店に残る計算だ。だから、完全に改正規則が適用された遊技機市場になるのは2021年2月1日からである。

 これは私の個人的な想定であるが、改正規則に対応した新しい遊技機が登場するスピードは来年の段階ではかなり遅いことが考えられる。今回の改正と同規模の改正だった2004年のときは、改正規則対応の回胴式遊技機の登場と安定的供給までに1年以上の期間を要している。このときぱちんこ遊技機は数カ月で安定的供給されるようになったが、当時のぱちんこ遊技機は出玉性能の規制緩和である。今回は当時の回胴式遊技機と同じくすべての区分の遊技機が出玉性能規制強化であるから向こう1年間程度は、現行規則機(旧規則機)が中心となる市場になるであろう。

 遊技機のギャンブル性が抑制されると依存対策になる、という命題の真偽を確認できるのは、以上のことから再来年以降になると思われる。ここがポイントとなる。

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【プロフィル】POKKA吉田

 ぽっか・よしだ 本名は岡崎徹。1971年生まれ。神戸大学経済学部中退。著書に『パチンコが本当になくなる日』(扶桑社新書)など。2016年2月から本名の岡崎徹としてぱちんこ業界紙「シークエンス」発行人編集長。