NTT電報、元日から夜間受付廃止 ピーク時9461万通、今1割未満


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 ■緊急時は携帯 慶弔用9割

 NTT東日本と西日本は「事故、至急連絡されたし」など53種類の定型文が送れる緊急定文電報の夜間電話受け付けを来年元日から取りやめる。携帯電話やメールなど通信手段の多様化で、電報利用の9割以上が慶弔用となり、緊急時の利用が減っているため。受付時間短縮にともない、夜間配達も停止する。

 緊急定文電報は現在、電話で24時間受け付けているが、午前8時~午後7時までに短縮するほか、名称も「定文電報」に改める。午後7~10時の受け付け分は、追加料金を支払えば当日配達しているが、このサービスも停止し、午前8時~午後7時受け付け分のみを当日配達する。

 また、慶弔用などに使われる通常電報についても午前8時~午後10時までの電話受付時間を午後7時までに短縮。インターネットでの受け付けは従来通り24時間行う。

 来年からNTT東西の電報の電話受付時間が短縮されるのは、メールや無料通信アプリ「LINE(ライン)」などで瞬時にメッセージが送れるようになり、取扱通数が最盛期の1割未満にまで減少したためだ。結婚式など儀礼的な場面での利用が大半となり、NTT以外でも紙媒体による連絡手段のサービスは縮小傾向となっている。

 電報は明治2年、当時の民部大蔵省のもと東京-横浜間でスタート。ピーク時の昭和38年度には、全国で9461万通の取り扱いがあった。しかしその後、取扱通数は減少が続き、48年には結婚式用など慶弔電報の数が緊急用などその他を逆転。昨年度の取扱通数は717万通にとどまり、うち9割以上が慶弔用だった。

 「危篤」などの定型文が送れる緊急定文電報でみると、全体の1%未満しか取り扱いがなかったという。電報事業の昨年度の収支は、NTT西日本は1億円の黒字だったものの、NTT東日本は3億円の赤字を出している。

 こうした取扱通数の減少と収支悪化を踏まえ、両社は9月、受付時間の変更などを総務省に申請。パブリックコメントでは電報について「廃止を行ってよいのでは」との意見も寄せられ、11月末に総務省が変更を認可した。

 緊急定文電報について、NTT東の担当者は「数は少ないながら利用者はおり、サービスをやめるという話にはなっていない」とする。

 一方、日本郵便も、顧客のメッセージを台紙に入れて相手先に配達する「レタックス」について、電話による受け付けを来年3月末で終了する。昭和56年にサービスを開始したが、昨年度の電話受け付けによる取り扱いは数万件程度しかないためだ。郵便局窓口やインターネットなどでの受け付けは続ける。

 約240の国と地域に送ることができる国際電報を扱うKDDIでも、取扱通数は「極めて少なくなっている」(担当者)。

 平成11年までは電話で24時間受け付けていたが、20年からは月~土曜日の午前9時~午後5時までに短縮している。