EV普及で“走行税”浮上も ガソリン税収大幅減、財政再建に影 (1/3ページ)

東名高速道路上り海老名サービスエリア付近。EVが普及すればドライバーの税負担も変わりそうだ=5日午後
東名高速道路上り海老名サービスエリア付近。EVが普及すればドライバーの税負担も変わりそうだ=5日午後【拡大】

  • 東京モーターショーで日産が展示したコンセプトEV。電動化の進展でガソリン税収は減少が見込まれる=10月、東京都江東区

 世界で加速する電気自動車(EV)の普及が、各国政府の財政問題に発展する可能性が出てきた。ガソリンの代わりに電気で走るEVが普及すれば、揮発油税などの税収減が不可避になるためだ。2050年には先進国の関連税収が8割落ち込むとの試算もあり、財政赤字の膨らむ日本にとって課題になりそうだ。

 受益者負担の原則

 「EVもガソリン車と同じ道を走っているので、相応の負担をしてもらう必要がある。ガソリン税がなくなったらどうするのか」

 石油連盟の木村康会長(JXTGホールディングス会長)は9月の記者会見でこう述べ、税負担の「公平性」を訴えた。

 ガソリンにかかる揮発油税は元来、1リットル=24.3円だが、政府は「暫定税率」として2倍の48.6円を徴収している。地方自治体に配分する地方揮発油税の5.2円を含めると、計53.8円とドライバーに重い負担となっている。

 これに対し、EVや水素を使う燃料電池車(FCV)は燃料にかかる税金がない。現在も重い税負担に不満が根強い石油業界には不公平感が募る。

 背景には、揮発油税の理念がある。当初は一般財源だった揮発油税は、第1次道路整備5カ年計画が始まった1954年度に「道路特定財源」に衣替え。政府は自動車の普及に伴う道路整備という特定の目的のもとで徴税し始めた。

「最終的に走行距離に比例した走行税に」の声があがる