「百貨店業界の底入れは本物」 失速したはずの“爆買い”が帰ってきた背景 (1/3ページ)

 爆買いの失速から希望が見えた!?

 インターネット通販に押された影響で主力の衣料品が売れず、低迷していた百貨店の業績が回復している。高島屋の2017年8月中間連結決算は、売上高が前年同期比で2.2%増の4529億円、純利益が6.3%増の90億円だった。

 高島屋の木本茂社長は決算説明会で「好調な訪日外国人客(インバウンド)の需要と底堅い国内消費に支えられた」と振り返った。富裕層による購買意欲も高まっているという。

 大丸や松坂屋を運営するJ.フロントリテイリングの中間連結決算(国際会計基準)では、純利益が17.8%増の163億円となり、期初の減益予想から一転し増益となった。

 三越伊勢丹ホールディングスも9月中間決算で営業利益が25.4%増と好調だった。

 通期の業績予想については、高島屋が9430億円から9510億円に、J.フロントが4690億円から4720億円に、それぞれ売上高を引き上げた。今後もインバウンド数が順調に伸びていく見込みがあることから「百貨店業界の底入れは本物だ」との期待を込めた声も上がる。

※画像はイメージです(Getty Images)

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 中国人観光客が大量に日本製品を購入する「爆買い」は昨年、中国政府が個人輸入品の関税を引き上げたことに加え、円高により大きく失速した。高額なブランド品ではなく化粧品といった消耗品を好むようになったため客単価が下がり、16年の中間決算では百貨店各社が売上高を大きく落とした。

 しかし今回のJ.フロントの中間決算では、免税品の売上高が52.7%増の200億円と取り戻した。同社の広報担当者は「インバウンドの売上高は、下がるところまで下がって以降、V字回復をしている」と説明する。

実は爆買いにブレーキがかかった後も、インバウンド自体は増えている