【Bizクリニック】記事の無断貼り付けは違法行為 (1/2ページ)

 □広報ブレーン代表取締役・管野吉信

 世の中、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がはやる。新聞や雑誌の記事をスマートフォンで撮影し、それを貼り付けて「新聞に掲載されました」などと発信するケースが非常に多い。テレビ番組でも自社紹介部分を録画し、気軽に発信している。でもちょっと待ってほしい。メディアから記事(番組)利用許諾を得ないと「それって違法行為ですよ!」。

 メディアの制作物には著作権がある。新聞や雑誌を例にとると文章はもちろん、記事の割り付け、見出し、写真、図版が著作権の対象となる。このためメディアではニュースサイトなどで記事の利用許諾を呼び掛けている。「Sankei Biz」ではページ下の「知的財産ポリシー」をクリックすると、ページ右に「記事使用について」がある。許諾料はコピー枚数、ウェブでの活用の有無などによって異なるが、おおむね各社とも2万円前後。コンプライアンス(法令順守)が叫ばれる中、2万円で「コンプライアンスがしっかりしている企業」をアピールできれば、ブランド戦略上安いコストではないか。逆にそれをけちると、多くの人に「コンプライアンスがなっていない企業」と思われる。しかも、指摘されることなく、じわじわとブランドイメージをむしばむので要注意だ。

 とはいえ中小企業にとって2万円は大きく、出費はできれば避けたい。そこで裏技を紹介しよう。それは「〇〇新聞の〇日付に、〇〇が掲載されました」と掲載の事実だけをホームページのニュース一覧などで報告し、詳しい中身はニュースリリースを活用することだ。その際、著作権の対象である見出しや記事の一部転載は避ける。メディアのニュースサイトで紹介されていればリンクを貼り付けてもよい。ウェブ上の記事利用許諾は発生せず記事コピーの許諾だけになるので安く済む。

中小企業は自らのためにも、著作権法を守ろう