【eco最前線を聞く】風力発電由来の水素でCO2フリー (1/3ページ)

豊田通商などが参画する風力発電から水素を作る実証試験の設備=北海道苫前町
豊田通商などが参画する風力発電から水素を作る実証試験の設備=北海道苫前町【拡大】

 □豊田通商新規事業開発部 低炭素社会推進グループリーダー・鈴木来晃氏

 豊田通商は、11月下旬から風力発電で起こした電気から水素をつくり、貯蔵・輸送し、北海道苫前町の公衆浴場のボイラーの燃料として利用する実証試験に乗り出す。地球温暖化防止に向けて、水素社会の実現が求められ、政府も基本戦略を年内にも策定し、2020年ごろまでに約4万台の燃料電池車(FCV)と、対応する水素ステーションの整備を進める計画だ。こうした中で豊田通商の新規事業開発部低炭素社会推進グループの鈴木来晃グループリーダーは「化石燃料由来ではなく、再生可能エネルギー由来の水素を使って二酸化炭素(CO2)フリーの社会を実現したい」と、究極のエコを目標に掲げている。

 ◆町営の入浴施設に活用

 --実証試験の仕組みは

 「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)や川崎重工業など7者で11月下旬から苫前町の町営風力発電所(風車3基)でつくった余剰電力から水電解装置を使って分解して水素を製造・輸送し、町営の入浴施設の燃料に活用します。水素はトルエンと反応させ、メチルシクロヘキサン(MCH)と呼ばれる常温常圧で貯蔵できる液体に転換し、これを10キロ離れた入浴施設に輸送します。そこで、水素とトルエンを分離させ、水素をプロパンガスと混合しボイラー燃料に使い、お風呂の湯を沸かす仕組みです。トルエンは発電所に戻して再利用しますが、灯油よりは割高なのでコスト面が課題です」