地価や施工費の上昇で首都圏の新築マンション市場に変化が起きている。これまで皇居の南側に位置する港区、目黒区などの城南、世田谷区がある城西エリアが有名人など“セレブ”が比較的多く住むのが好印象で人気が高かった。それが最近は下町風情が残る城東(江東区、江戸川区など)、城北(北区、板橋区など)エリアが安さが魅力で注目を集めている。販売価格の高止まりが続く市場動向を背景に街のブランドにこだわらない予算重視の購入スタイルが定着しつつある。
「城東・城北」割安感
「(城西の)世田谷区と(城東の)江東区で、新築マンションを同時販売しているが、同じような間取り、品質、最寄り駅からの距離でも江東区の方が35%ほど割安だ」
大手デベロッパーのある営業担当者はこう述べ、城東エリアに関心が高まるマンション市場の変化を説く。高所得層の集まる城南、城西エリアに比べ、城東は城北と並んで「下町の風情が残る庶民の街」というイメージだが、その分、価格の安さが魅力だ。これまで人気が集中してきた城南、城西エリアのマンションは販売価格が高騰し、ファミリー層が手を出しにくくなっているという。
さらに、城東、城北エリアは皇居の東側にある大手町や丸の内など都心のオフィス街へアクセスしやすいのも注目を集める要因となっている。
住友不動産が販売する総戸数500超の大型マンション「シティテラス東陽町」(東京都江東区)では、「これまでに見たことがない傾向が表れた」(営業担当者)という。契約者動向を分析した結果、30~40代をターゲットとする物件としては極めて珍しく、共働き世帯が過半数を占めたのだ。