【知恵の経営】全員が協力できる体制作る アタックス研究員・坂本洋介 (1/2ページ)

 日本人形の製造販売を手掛ける、ふらここ(東京都中央区)を再び取り上げる。以前、女性活用により需要の変化をつかんだことを紹介したが、具体的にどう女性活用・女性活躍の場を作り上げたかを説明したい。

 同社の女性正社員は現在10人で、責任ある業務を任されている。一般的に女性の場合、人の上に立って手腕を発揮するより、横並びで一緒に仲良くなる傾向が強いように思われがちだ。原英洋社長も1人を突出させて孤立してしまい、結果が出ないことを何度か経験した。

 それでもみんなが協力しあうことは良いことなので、一人一人にどれだけ責任を持って仕事をしてもらうかを考え、上下の差より、責任感を持たせるために人員配置を行った。

 また、社内に後輩ができれば指導して育てたいという気持ちは、人として当然ある。その思いをうまく醸成していく中で、序列をつけるよりも、責任感を持って後輩を育てようと自然に思えるようにしていくのが良いと考え、取り組んでいった。

 ただ、誰もが責任感を持てるものではない。そこを採用段階できちんと見極めないと人材育成は難しい。このため、ある程度資質のある女性を採用し、それなりの環境を用意して自然と責任感が高まるようにした。

 もう一つ取り組んだのが、2015年1月から1年3カ月かけて全社員で構築した人事制度だ。全員参加としたのは原社長の苦い経験があったからだ。

 14年に社内が“なあなあ”になることを危惧して、原社長1人で社員のための「ルールブック」を作成した。ルールを作るのは当たり前と思っていたが社員の前で発表したところ大きな反発にあった。その結果、当時6人しかいなかった社員のうち4人が辞める事態となった。