東京電力ホールディングス(HD)は13日、福島第2原発で神戸製鋼所の子会社が納入した配管に、検査データの一部を偽装した製品が納入されていたと発表した。交換用の予備の配管だったため使用されておらず、安全に問題はないという。
この子会社は神鋼メタルプロダクツ。同社が東電HDに行った報告によると、昨年9月から今年8月にかけて納入された配管の一部から不正が見つかった。寸法を2カ所で測定することになっていたが、1カ所だけしか測っておらず、残り1カ所は想定値を記載していた。
納入された配管は、東電HDが要求した性能は満たしており、日本工業規格(JIS)の基準にも適合しているという。東電HDは神鋼メタルに追加で報告を受けた上で、今後の対応を判断する方針だ。
一方、防衛省の青柳肇報道官は13日の記者会見で、性能データが改竄(かいざん)された神戸製鋼のアルミ製品が航空機や誘導武器、魚雷などの防衛装備品に使用されていたと明らかにした。自衛隊の航空機向けなどの部品にアルミ製品を使っていた島津製作所は部品の交換を検討。神戸製鋼に求める費用の負担に関しては「同業他社の動向をみながら考えたい」(担当者)としている。
また三井造船が製造する船舶用エンジンや、阪急電鉄の車両の一部にもアルミ製品が使われていたほか、三菱電機の一般用と業務用の空調機器の一部と、富士通のグループ会社が海外で生産している車載部品に銅製品が使われていたことも新たに分かった。ブリヂストンや横浜ゴムなど大手タイヤメーカー各社も調査に乗り出している。鉄鋼製品がタイヤの補強材として使われる可能性に注視し、安全性への影響の有無など事実関係の確認を急ぐ。