神戸製鋼所がアルミ製品などの性能データを改竄(かいざん)していた問題で、同社の川崎博也会長兼社長は13日に東京都内で記者会見を開き、新たに鉄鋼製品を含む9件で不正があったことを明らかにした。問題のある製品の納入先は、当初の約200社から約500社に増えた。12日には、不正が疑われる事例に主力の鉄鋼製品は入っていないとしていたが、実際に行われていたことで情報開示の姿勢や説明責任が問われそうだ。
神戸製鋼の不正をめぐっては、アルミ・銅以外に鉄粉や半導体やDVDの製造に使う金属材料でも不正が発覚している。対象が連結売上高の約4割を占める鉄鋼事業に広がったことで、事態はさらに深刻さを増した。
鉄鋼では自動車のエンジンの駆動を支えるばねやタイヤの補強に使う線材で不正が発覚した。神戸製鋼によると、中国2カ所の工場で生産した線材の検査を行わず、内容を捏造(ねつぞう)して出荷していたという。鉄鋼では過去に日本工業規格(JIS)違反が発覚したグループ会社、日本高周波鋼業の特殊鋼と神鋼鋼線ステンレスのステンレス鋼線の不正も公表した。
川崎会長兼社長は会見で「顧客と消費者のみなさまに多大なご迷惑をお掛けし、改めておわび申し上げる」と謝罪。前日の説明と食い違った点については「現在実施している調査とは別に見つかっていたもの」と話し、前日の説明の対象外だったとしたが、経営陣が知りつつ公表していなかった事実も明らかになった。自らの経営責任については「今は原因と対策、安全性の検証が最優先」と述べるにとどめた。