輸入米、外食産業で需要増 入札盛況、国産高値で値頃なコメ不足

カリフォルニア産のコメ「カルローズ」
カリフォルニア産のコメ「カルローズ」【拡大】

 国産米より安く、外食店などで使われる輸入米の需要が増えている。コメ貿易を管理する政府が先月下旬に行った2017年度の第1回入札では契約予定量がほぼ競り落とされ、落札率は4年半ぶりの高さだった。国産米が生産調整(減反)や作柄の影響で値上がり基調となり、安さが重視される業務用米の不足感が強まったためだ。

 この入札は売買同時入札(SBS)と呼ばれ、政府が輸入商社からコメを買い入れ、卸売業者に売り渡す取引の条件をまとめて募る。政府の買い入れ価格と売り渡し価格の差が大きい業者の順に落札でき、主食用を中心に年10万トンの枠がある。

 12年度は全4回の入札とも100%が落札されたが、国産米の値下がりを背景に落札率は低下し、一時は10%未満になった。ところが先月は予定量2万5000トンが2トンを残して落札。コシヒカリなどに比べ粒の長い米国産「中粒種」の取引が最も多く、売り渡し価格は1トン当たり約20万5000円と、16年度最後の入札から5割近く上昇した。

 国産の16年産米の相対取引価格は前年比で平均1割ほど高く、新米も減反の影響や東日本の不作懸念で値上がりが見込まれる。外食店向けに卸す業者が国産米の調達を抑え、輸入米を多く確保しようとしたとみられる。

 輸入の主力はカリフォルニア産の「カルローズ」。USAライス連合会の日本代表事務所は「粘り気が少なくサラダやチャーハンなどに適している」とし、東京都内の食品商社でも卸からの照会が増えているという。

 最近は国内産地が高値のブランド米に力を入れる半面、値頃なコメは不足気味になっている。農林水産省幹部は「輸入米に外食需要が食われてしまう」と警戒し、安いコメを増産する必要性を指摘している。