シンガポールに本社を置く宇宙ベンチャー、アストロスケールは、開発を進めていた世界初のスペースデブリ(宇宙ごみ)観測衛星「IDEA OSG1」が完成し、このほど、東京都墨田区にある同社日本法人で報道関係者に公開した。
完成した衛星は大きさが左右、奥行き各38センチ、高さ60センチ、重さは約25キロ。約1000平方センチのフィルム貫通型微小デブリセンサー「スペースデブリモニター(SDM)」2枚を搭載している。
SDMのフィルム上には、50マイクロ(1マイクロは100万分の1)メートル幅の導線が、100マイクロメートル間隔で約3300本並べられている。デブリがフィルムに衝突する際に切断する導線の数で、その大きさを推定できる。また、デブリそのものは衛星本体に収容する仕組みだ。
衛星は、専用コンテナによってロシアに送られた。予定では、今年末から来年春までに打ち上げる。
衛星の開発に当たっては、切削工具大手のオーエスジーが部品の加工などで支援した。衛星の開発責任者であるアストロスケールの荒木友太氏は、「やっとスタートラインに立てた。そんな気持ちです」と語った。
宇宙空間には、人工衛星の故障や爆発、衝突事故などで大きさが1センチを超えるデブリが少なくとも75万個以上存在するといわれている。小型衛星の普及などで、デブリが衝突する可能性も高まり、対策が求められている。
アストロスケールは2013年にシンガポールで設立。15年には東京都墨田区に研究開発拠点を設け、今年3月に英国現地法人を立ち上げている。