【ビジネスの裏側】
シャープが米国市場で自社の液晶テレビブランド「アクオス」を敵に回し戦うことを決めた。米国での同ブランドの使用権を中国企業に譲渡してしまったため、新ブランドを掲げて再参入する方針だ。高級路線を打ち出して市場を開拓するという。かつて世界市場を席巻したアクオスを打ち負かすことはできるか。(橋本亮)
1千万台達成に自信
「シャープは液晶テレビをグローバルに展開する」
野村勝明副社長は7月の記者会見で、液晶テレビ事業の拡大に意欲を示した。
シャープは平成30年度末に液晶テレビの世界販売を28年度の約2倍となる1千万台に伸ばす野心的な目標を掲げている。野村副社長は「1千万台は絶対に達成したい。29年度は『これなら(30年度末には1千万台まで)行ける』と思える数字にする」と言い切る。
29年4~6月期の世界販売台数は前年同期の約1.8倍に拡大。戴正呉社長も「(1千万台達成に)自信を持っている」と話す。
シャープは今年2月、27年に撤退した欧州市場に再参入するため、欧州でアクオスを含むシャープブランドのテレビを販売するスロバキアの家電メーカー、ユニバーサルメディアコーポレーション(UMC)の持ち株会社を買収。親会社の台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の販路を生かした販売強化に乗り出すなど、海外展開の再加速による目標達成に向けた足場固めを急いでいる。