高画質の次世代パネルを搭載した薄型テレビの販売競争で、メーカー各社が火花を散らしている。リアルな映像と画面の薄さが特長の「有機EL」で先行するパナソニックやソニーに対し、シャープは液晶をさらに高精細にした「8K」テレビを世界で初めて発売すると発表。2020年の東京五輪に向けた買い替え需要もにらんで次世代の主役を競っている。
「高級感」アピール
JR大阪駅前のヨドバシカメラ梅田店。テレビの特設売り場には各社の有機ELテレビがずらりと並ぶ。65型の迫力のある大画面に、買い物客らが足を止めて見入っていく。家族で訪れた大阪府枚方市の自営業の男性(39)は「鮮やかだ」と驚きの声を漏らした。
17年は「有機EL」元年と言われ、3月の東芝を皮切りに6月にはパナソニック、ソニーと国内参戦が相次いだ。従来の液晶パネルの「4K」テレビより映像が鮮明で、薄型のデザインが可能な有機ELを各社とも液晶に次ぐ主役と見据えており、音響にもこだわりの技術を搭載するなど「高級感」でアピールする。
ヨドバシの担当者は「映像を趣味にしている人が購入するケースが多い」と話す。テレビの普及一巡で市場が頭打ちとなる中、各社とも販売単価の高い高画質モデルの拡大を目指しており、有機ELはその最前線の牽引(けんいん)役との位置付けだ。