東芝の半導体子会社「東芝メモリ」(東京)の売却交渉で、米ウエスタン・デジタル(WD)が買収に向けた資金拠出を見送り、見返りに協業で分け合う製品の配分引き上げなどを求めていることが6日、分かった。東芝に新たな提案を示した。WDが影響力を持つ「日米連合」の出資企業を増やすため、米アップルに参画を打診していることも判明した。
ただ将来の経営権取得を諦めていないWDに対しては、東芝メモリ側の警戒感が根強い。条件闘争が続いており、最終決着へ予断を許さない。
東芝は6日に取締役会を開き、日米連合の新提案を軸に協議したが、結論を持ち越した。13日に開く予定の次回の取締役会で売却先の決定を目指しており、主要取引銀行などに意向を伝えた。
WDは新提案で、普通株に転換可能な社債を通じて1500億円を拠出する計画を撤回。買収への関与を薄め、関係各国の独禁法審査を通りやすくする。債務超過の解消を急ぐ東芝に配慮した。
日米連合は、産業革新機構や米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などが主要メンバー。WDが拠出を見送れば、買収資金は当初想定した1兆9000億~2兆円から減る。米アップルなどの参画により不足分を補う。
三重県四日市市の半導体工場でつくられる「フラッシュメモリー」は、生産設備の所有割合に応じて東芝とWDが分け合う契約で、WDは自社の配分比率を高めたい意向だ。