日系自動車メーカーに再び、インドで工場を新増設する動きが活発になってきた。急速な経済成長に伴い、四輪車や二輪車の販売が急増する中、旺盛な需要を取り込む。
スズキは、主力市場であるインド北西部のグジャラート州に2019年初めの稼働を目指し新たな四輪車工場を建設。既にインドで稼働している3工場と合わせた生産能力は20年度に200万台になる。スズキのインドでの乗用車シェア(市場占有率)は4割強と断トツで、能力増強により受注から顧客への引き渡しまでの期間を短縮して販売機会の損失を防ぎ、シェアの維持拡大につなげる。
スズキは、インドで20年以降、導入される新たな排ガス規制も見据え、東芝とデンソーと共同で自動車向けのリチウムイオン電池を製造する合弁会社もインドに設立する。20年ごろに生産を始め、製造した電池はスズキのインド子会社が生産するハイブリッド車(HV)などに搭載する。
二輪車工場の新増設の動きも目立つ。川崎重工業はインド西部マハラシュトラ州に中・大型の二輪車の工場を新設し、9月ごろから生産を始める。生産能力は現在の約3倍の年1万6千台に増やす。ホンダも8月までにインドの二輪車工場のラインを増設し、年産能力を640万台に増強。ヤマハ発動機も、ライン増強で生産能力を190万台超に増やす方針だ。インドの二輪車市場は16年度で約1760万台と世界最大。各社は経済発展に伴う継続的な需要拡大を見越して、現地生産の強化を図る。