遺産相続による資金の流出を少しでも防ごうと、地方の金融機関では相続資産を対象に金利を高めに設定した商品を売り出す動きが広がっている。大手行の店頭金利より魅力ある定期預金を提供することで、預金を引き留めたい考え。将来的に、投資信託など他の金融商品の販売につなげる狙いもある。
秋田銀行(秋田市)は2013年から相続による預金を対象に「相続専用定期預金」をスタートさせた。1年物で通常の定期金利の30倍に当たる0.30%の金利を設定した。
スルガ銀行(静岡県沼津市)も定期預金の店頭金利に、預入期間に応じて0.20~0.35%上乗せした商品を用意する。
横浜銀行(横浜市)やトマト銀行(岡山市)なども相続資金を対象にした定期預金を用意した。
ただ一方で、優遇金利が適用される期間が過ぎれば、預金が引き出されるケースも多いという。
元日銀理事でNTTデータ経営研究所会長の山本謙三氏は「地銀単独の努力だけでは預金流出を防ぐのは難しい。地域が一丸となって資金需要を高めるような施策が必要だ」と指摘している。