街中に設置されている赤外線式カメラ。ただ撮られる画像はモノクロで、夜間などの場合は何が写っているか判別できないことも少なくない。こうした課題を解決しようと、産業技術総合研究所(産総研)発ベンチャー、ナノルクスが開発を進めているのが「赤外線カラー暗視技術」だ。防犯やテロ対策など安全・安心な社会を構築するため監視カメラの需要は年々高まっており、同社の技術が大きな注目を集めている。
同技術は、産総研の主任研究員で同社の永宗靖・技術担当取締役が開発した。10年ほど前に光センサーの高感度化に関する研究に取り組んでいた頃、「色の付け方で可視光に近い画像ができる可能性があることに気付いた」(永宗氏)という。
人間は光の三原色である赤、青、緑の組み合わせで色を識別している。可視光の波長は約400~700ナノ(1ナノは10億分の1)メートルで、色ごとに波長が決まっている。そこで、永宗氏は、赤外線を物体に当てた場合にも色ごとに反射される波長が異なる現象を応用することで、カラー画像として捉える技術を編み出した。