上場企業の間で、自社株式を報酬に活用する「株式報酬」がじわりと広がっている。コンサルティング業務などを担うウイリス・タワーズワトソンと三菱UFJ信託銀行が21日発表した共同調査結果によると、全上場企業の約5割が株式購入権の「ストックオプション」を過去に付与した経験があることが分かった。役員らの中長期的な業績向上への意識付けを強め、企業価値向上を図る狙いだ。
ストックオプションが日本で解禁されたのは1997年。この20年で、過去に1度でも付与した企業は今年6月末時点で累計2000社弱に上り、全上場企業の約5割にあたるという。直近1年間に付与した企業は前年比15社増の643社で、前年に付与した企業の約72%が今年も実施している。
このほか、役員や従業員を対象に業績達成などをポイント化し、退任時などにポイントに応じた自社株式を付与する「信託型」の株式報酬も伸びている。今年6月末までに導入を開示した企業は累計545社に達し、前年の累計376社から169社上積みした。ウイリス・タワーズワトソンの櫛笥(くしげ)隆亮ディレクターは「株式報酬は株主と同じ目線で経営に取り組む意識を高め、企業価値向上の意識づけになる。今後も広がるだろう」と話した。