コンビニ大手が、企業のオフィス向けに自動販売機やセルフレジ方式で商品を提供する無人の「ミニコンビニ」事業を強化している。社員食堂や売店の減少に加え、オフィスビルの高層化で買い物に出掛ける手間が増えたことが背景にある。
ローソンは7月、100人以上が勤務する企業の事務所を対象に、菓子やカップ麺を中心に50~60種類の商品を置ける棚を設置するオフィス内コンビニ事業を始めた。セルフレジ端末を置いて無人で運営。現金ではなく交通系の電子マネーで支払う。2018年2月末までに約1000カ所への設置を目指す。
広報担当者は「効率的な働き方が求められる中、少ない休み時間を有効に活用したい人が利用している」と話す。ビルの高層化でエレベーターの待ち時間が増えていることも要因と指摘した。
ファミリーマートは、棚方式のほか自販機コンビニを展開している。既に関東、東海、関西、九州の11都府県のオフィスで約2100台設置。最近は物流センターや工場、病院からの引き合いが増えているという。
14年からは取り出し時に弁当やサラダの中身が崩れない自販機を導入した。男性中心の職場では食べ応えのある弁当、女性が多い職場ではサラダを充実させるなど商品の調整もできる。19年2月末までに3000台に増やす計画だ。
両コンビニとも設置費用は無料だ。ファミリーマート担当者は「人手不足を背景に、社員食堂や売店の維持コストが負担になっており、企業側から声が掛かることが多い」と説明した。