東芝の2017年3月期決算の有価証券報告書(有報)の監査は、PwCあらた監査法人と東芝の意見の隔たりで暗礁に乗り上げていたが、「限定付き適正意見」という落としどころに着地する見通しとなった。ただ、これで上場廃止リスクを払拭できたわけではない。東芝メモリの売却を完了し、来年3月までに債務超過を解消できるかが次の焦点になる。
「今までは、どこまでも沈む不信感があったが、そろそろこれ以上沈まないことを示したい」
東芝関係者が語った期待は現実になりそうだ。決算を部分的ながら承認する限定付き適正意見が出る見通しとなり、懸案だった決算をめぐる問題には一定のめどがつく。
東芝の原発事業の巨額損失について、PwCあらたは過去の会計処理に「誤り」があるとの見解を示し、17年3月期決算の有報に「不適正意見」を出す可能性もあった。不適正意見が付けば、東京証券取引所による上場維持可否の審査に悪影響が出るほか、資金繰りを支える銀行団も融資継続の妥当性を問われかねず、東芝は一段の厳しい立場に立たされかねなかった。