スマートフォン向け専用アプリを活用し目的地までのタクシー運賃を乗車前に確定させる新サービスの実証実験が7日、東京都内で始まった。渋滞や回り道で運賃が高くなるといった不安を解消し利用者を増やすことが目的で、参加するタクシー各社は急増する訪日客を呼び込むことも狙う。国土交通省は効果を検証した上で、全国展開も視野に本格導入を目指す。
「降りるまで運賃が分からないという課題を克服し、産業全体をアップグレードしたい」。東京ハイヤー・タクシー協会の川鍋一朗会長(日本交通会長)は東京都港区の自動車販売店で開かれた出発式で声に力を込め、「来年中には本格実施に移りたい」と早期の普及にも意欲を示した。
東京23区と武蔵野、三鷹両市で実証実験される新サービスは、利用客が専用アプリに乗車地と目的地などを入力すると、迎車料金を含む事前確定運賃が算出され、利用客が承認ボタンを押すと、タクシーが指定の場所に配車される。3000円以上の利用で配車を依頼した場合に限る。
実験では、事前に確定した運賃が実際の走行距離などに照らして適切だったかを確認。さらにメーターをカバーで覆った状態で運行し、利用客の反応をアンケートで調べる。
10月6日まで、日本交通や国際自動車など4グループ44社の4648台が参加する予定。参加企業の役員は「知らない土地に来た訪日客にも乗りやすくなる」と新規需要の取り込みに期待を寄せた。