日常生活に支障をきたす手疾患「デュピュイトラン拘縮」について、旭化成ファーマの治療薬「ザイヤフレックス注射用」(一般名コラゲナーゼ〈クロストリジウム ヒストリチクム〉)が注目されている。従来、手術以外の有効な治療法がなかったが、注射により患者負担が軽減されるからだ。
デュピュイトラン拘縮は、手のひらから指にかけて「しこり」ができ、病気の進行に伴って徐々に指が伸ばしにくくなる病気。薬指や小指に多く発症し、通常、痛みはない。「家族に同じ病歴がある」「糖尿病」「手に外傷がある」「飲酒量が多い」といった要因があると発症しやすいとされるが、はっきりした原因は分かっていない。比較的高齢者に多く、治療をしていない潜在患者も多いという。治療法は手術以外なかったが、2015年9月、同社のザイヤフレックスが発売された。
同社が7月27日に開催したメディアフォーラムで、この治療の第一人者、名古屋大大学院医学系研究科の平田仁教授は「手術は術後のさまざまな合併症があり、神経損傷のリスクも高く再発率が高い。一方、ザイヤフレックスは関節の拘縮索に注射すればよく、患者の負担を軽減できる」と指摘した。
また、同社医薬営業本部XIAプロジェクトの立石典浩課長は「国内臨床試験の有効率は85.7%。98%に副作用が認められたが、投与直後の軽度から中等度の反応」と説明した。