【被災地へ 石油列車】機関車解体、ベテラン運転士減少 非常時の物流支援に課題 (1/3ページ)

石油輸送を担った運転士の一人、JR貨物の渡辺勝義さん
石油輸送を担った運転士の一人、JR貨物の渡辺勝義さん【拡大】

 磐越西線ルートでの石油輸送は順調に行われ、4月1日以降は1日2便に増便された。しばらくは会津若松から猪苗代駅までの登りのみ、ディーゼル機関車DE10を補機として連結し、空転に備えた。

 エンジンから白煙

 石油輸送に選ばれた運転士の一人、JR貨物郡山総合鉄道部の渡辺勝義さんは3月30日から乗車した。雨が降る中、磐梯町からDE10の後押しをいったん止めてみたところ、やはり車輪が空転し、走行困難に陥った。

 間もなく郡山に到着する地点で、渡辺さんは線路脇で揺れるものを見た。列車に向け、大きく「ありがとう」と書いた段ボールを女性が掲げていた。鉄道貨物一筋約35年、職務中にこんなに感激したことがあっただろうか。定年まであと何年もないが、この思いを後輩たちに伝えたい、そう思った。

 渡辺さんは4月1日も乗車。好天に恵まれ安心して走行していたとき、事件は起こった。磐梯町手前の急坂で、運転席の下から「バンッ」という破裂音がし、出力が急速に落ちていった。後ろを振り向くと車体下から白煙がたなびいていた。「エンジンがぶっ壊れたぞ!」

「解体待ちで長く稼働していない機関車を緊急整備して走らせていた」

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